考える卵
10月から11月の土日は文化祭・学校祭の季節でした。今年はさまざまな行事が重なり、町内の全学校を訪問することができませんでした。訪問させていただいた学校での印象とその時考えたことを少し述べさせていただきます。
何かの折に「合唱は中標津の文化である」とお話したことがあります。今年、私の印象に残った合唱がいくつかありました。
丸山小学校、毎年ですが校長先生の指揮による全校合唱はたいへん元気があり、ほほえましいものでした。また、中標津中学校での学級対抗合唱コンクールは3年生のレベルが高く、地声の響きではなくきれいなハーモニーの連続でした。最後のクラスの自由曲はアンジェラ・アキの『手紙~拝啓~十五の君へ~』でしたが、涙を流しながら歌っている女生徒がいました。きっと、歌詞の意味を理解し、自分の日常と重なるものを感じたのではないかと思います。その様子に、私も眼鏡を外し、ポケットのハンカチを探していました。
広陵中学校はお訪ねできなかったのですが、合唱コンクールは例年通り総合文化会館大ホールで行われました。外部からの審査員の方々が感動し、管内一ではないかと話していたそうです。中標津小学校もお訪ねできなかったのですが、ジャガーズの歌声はもちろん素晴らしかったと想像します。NHKのコンクールでは北海道大会で銀賞でした。今年、学芸会で聞けなかったのは残念の一言です。
さて、計根別学園です。決してきれいなハーモニーには至っていなかったと思いますが、1年生から9年生までの140名ほどの歌声は新しい学校、初めての学園祭を学園祭のテーマである『はじめの一歩』のとおりにやり遂げようという一人一人の声がしっかりと聞こえてくるものでした。新しい校歌も聞かせていただきました。1年生の顔を見て9年生の顔を見ると、私の顔の筋肉は限りなく緩むのでした。年齢幅の大きい子ども達がお互いを意識しながら、何とか一つになろうとしている姿でした。保護者や地域の方々の拍手も一段と大きく感じられました。
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計根別学園の学園祭の様子をもう一つ添えさせていただきます。それは5・6年生の劇『夏の宿題』です。
計根別で小中一貫教育を始めると宣言した折に、随分と色々な疑問や反対意見をいただきました。「なぜ、そんなことをするのか」「なぜ、計根別でするのか」「なぜ、先頭を切ってしなければならないのか」「小学校1年生と中学校3年生がいっしょにあそんだら、小学校1年生がいじめられたり怪我したりするのではないか」「小学校の卒業式や中学校の入学式はどうなるのか」そして、さらには「小学校6年生のリーダーシップはどうなるのか」という問題も突きつけられました。
誤解を招くことを承知の上でお話ししますと、今まで慣れ親しんだものが全ていいというのではなく、何を大切にしなければならないのか、何を変えていかなければならないのか、議論し判断していかなければならないはずです。また、歩きながら考えなければならないこともあると思います。
そのことの答えの一つが、5・6年生の劇『夏の宿題』でした。
私は午前の部で失礼しましたので、縦割りチームごとの演劇は観ていないのですが、たぶん出来映えとしては中学生が参加したものの方が良かったのかもしれません。しかし、小学校5・6年生の劇『夏の宿題』は幾つかの面で中学生を乗り越えたものであったのではないかと想像します。「自分達の身近な生活を通し自分自身に視線を向けていること」「社会のあり方を学ぼうという姿勢が表現されていること」「演技にリアリズムがあること」
子どもには、少しだけレベルの高いものを目指させ、努力させ、壁を乗り越えさせることが必要ではないでしょうか。成長するということはそういうことではないでしょうか。私達に求められているのは、限りなく心配し手伝ってあげることではなく、高みに向かうための指導をしてあげ、失敗することを前提に「限りなくしっかりと見守ってあげる」ことではないでしょうか。
『夏の宿題』を観終わり、パスカルの有名な言葉『人間は考える葦である』になぞらえて『子どもは考える卵である』と思った次第です。そして、私が眼鏡を外し、ポケットのハンカチを探していたことは言うまでもありません。
何かの折に「合唱は中標津の文化である」とお話したことがあります。今年、私の印象に残った合唱がいくつかありました。
丸山小学校、毎年ですが校長先生の指揮による全校合唱はたいへん元気があり、ほほえましいものでした。また、中標津中学校での学級対抗合唱コンクールは3年生のレベルが高く、地声の響きではなくきれいなハーモニーの連続でした。最後のクラスの自由曲はアンジェラ・アキの『手紙~拝啓~十五の君へ~』でしたが、涙を流しながら歌っている女生徒がいました。きっと、歌詞の意味を理解し、自分の日常と重なるものを感じたのではないかと思います。その様子に、私も眼鏡を外し、ポケットのハンカチを探していました。
広陵中学校はお訪ねできなかったのですが、合唱コンクールは例年通り総合文化会館大ホールで行われました。外部からの審査員の方々が感動し、管内一ではないかと話していたそうです。中標津小学校もお訪ねできなかったのですが、ジャガーズの歌声はもちろん素晴らしかったと想像します。NHKのコンクールでは北海道大会で銀賞でした。今年、学芸会で聞けなかったのは残念の一言です。
さて、計根別学園です。決してきれいなハーモニーには至っていなかったと思いますが、1年生から9年生までの140名ほどの歌声は新しい学校、初めての学園祭を学園祭のテーマである『はじめの一歩』のとおりにやり遂げようという一人一人の声がしっかりと聞こえてくるものでした。新しい校歌も聞かせていただきました。1年生の顔を見て9年生の顔を見ると、私の顔の筋肉は限りなく緩むのでした。年齢幅の大きい子ども達がお互いを意識しながら、何とか一つになろうとしている姿でした。保護者や地域の方々の拍手も一段と大きく感じられました。
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計根別学園の学園祭の様子をもう一つ添えさせていただきます。それは5・6年生の劇『夏の宿題』です。
計根別で小中一貫教育を始めると宣言した折に、随分と色々な疑問や反対意見をいただきました。「なぜ、そんなことをするのか」「なぜ、計根別でするのか」「なぜ、先頭を切ってしなければならないのか」「小学校1年生と中学校3年生がいっしょにあそんだら、小学校1年生がいじめられたり怪我したりするのではないか」「小学校の卒業式や中学校の入学式はどうなるのか」そして、さらには「小学校6年生のリーダーシップはどうなるのか」という問題も突きつけられました。
誤解を招くことを承知の上でお話ししますと、今まで慣れ親しんだものが全ていいというのではなく、何を大切にしなければならないのか、何を変えていかなければならないのか、議論し判断していかなければならないはずです。また、歩きながら考えなければならないこともあると思います。
そのことの答えの一つが、5・6年生の劇『夏の宿題』でした。
私は午前の部で失礼しましたので、縦割りチームごとの演劇は観ていないのですが、たぶん出来映えとしては中学生が参加したものの方が良かったのかもしれません。しかし、小学校5・6年生の劇『夏の宿題』は幾つかの面で中学生を乗り越えたものであったのではないかと想像します。「自分達の身近な生活を通し自分自身に視線を向けていること」「社会のあり方を学ぼうという姿勢が表現されていること」「演技にリアリズムがあること」
子どもには、少しだけレベルの高いものを目指させ、努力させ、壁を乗り越えさせることが必要ではないでしょうか。成長するということはそういうことではないでしょうか。私達に求められているのは、限りなく心配し手伝ってあげることではなく、高みに向かうための指導をしてあげ、失敗することを前提に「限りなくしっかりと見守ってあげる」ことではないでしょうか。
『夏の宿題』を観終わり、パスカルの有名な言葉『人間は考える葦である』になぞらえて『子どもは考える卵である』と思った次第です。そして、私が眼鏡を外し、ポケットのハンカチを探していたことは言うまでもありません。
平成27年11月 教育長 小 谷 木 透
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教育委員会管理課 電話番号:0153-73-3111FAX:0153-73-5333
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