エゾシカ対策

 エゾシカは、産業目的の乱獲や、明治12年と14年の記録的な豪雪で、一時は絶滅寸前になったそうですが、全道的な禁猟措置等エゾシカ保護政策により、その後徐々に増え続け、道東では、平成に入る頃から目立って増え始め、農林業被害や交通事故などが深刻な社会問題になっています。
 国や道では、それまでの保護政策から一転して積極的な捕獲駆除政策を展開しておりますが、令和元年の道内における推定生息数67万頭からさらに、5年度は73万頭と増加傾向にあります。
 
 道東地域(オホーツク、十勝、釧路、根室)には、令和5年度の統計では、約31万頭生息しているともいわれています。シカは2年で成熟し、ほぼ毎年1子出産するので、年間およそ20%増加すると推測され、6万2千頭程度を駆除していかなければ、減少しないことになります。
 中標津町でも、増えすぎたエゾシカによる農林業被害を減らすために、北海道猟友会中標津支部の皆さんの協力の下、平成26年には鳥獣被害対策実施隊を組織し体制を強化し、有害駆除を実施してきています。
 平成31(令和元)年度令和2年度令和3年度令和4年度令和5年度
326頭437頭502頭452頭449頭
405頭472頭644頭487頭498頭
合計731頭909頭1146頭939頭947頭
 今では厄介者として駆除されるエゾシカですが、明治の頃には、缶詰やシカ皮を北海道物産として輸出されていた時代もあります。また、ジビエ(野生鳥獣)肉として、特にシカ肉はフランス料理の高級食材として扱われるそうです。
 農地や森林を食害から守るためにシカを駆除するわけですが、シカも命ある動物です。以前は一部ハンターの自家消費にされるだけで、ほぼ全頭廃棄処理されていましたが、平成20年に、中標津町にもシカ肉処理施設が出来たため、命をいただくというシカの有効活用が始まりました。残念ながら、一般にシカ肉は臭くて、硬くてまずいというイメージが定着しており、有効活用を進めるには、まずそのイメージの払拭が課題でした。町では平成24年からエゾシカ肉の有効活用を推進するため、フォーラムを開催し、エゾシカ料理の試食会を催す等、その普及活動に取組んできました。フォーラムは26年をもって終了しましたが、26年8月からは有害駆除されたシカから厳選した肉を食肉として、地元のスーパーでも購入できるようになり、多くの飲食店でシカ肉料理が提供されるまでになりました。
 シカ肉は畜肉と違い、安定的に供給出来るものではありませんが、豊かな自然からの恵み(命)をいただくという、新たな地産地消の取組として進展していくことを願っています。

エゾシカ対策協議会推奨店

店名登録料理(推奨店登録時)
佐藤さんちのぎょうざ鹿肉みそ
板前料理 はねだエゾシカ肉そぼろとパスタの茶碗むし、エゾシカの四角い(鹿食い)じゃがもち
中国料理 東龍門鹿肉焼売(しゅうまい)
中標津保養所温泉旅館鹿ロースのにんにく味噌焼、鹿モモ肉の竜田揚げ
そば屋わかもりステーキ、シチュー、からあげ、しゃぶしゃぶ、たたき、しか肉コース料理有
中国料理 大和殿シカ肉ピーマン炒め、シカカツサンド、シカロースト丼
※中標津町エゾシカ対策協議会では『推奨店制度』を設け、推奨要件を満たす料理店を協議会の推奨店として登録しています。