この資料は、大正5(1916)年に寄贈者が自分で作ったスキーと武佐地区に住んでいたアイヌが持っていた「シントコ」(行器(ほかい))を交換したものと記録されています。
アイヌの人たちは、シントコを宗教儀礼で使うお酒を醸(かも)すための道具として使い、お酒は神前に供えられた後、人々はお裾分けをしました。儀式の際には、胴部にイナウ(ミズキやキハダなどの木を薄く削り、房状にした神具)が巻き付けられ、神器として大切に扱われました。
シントコの利点は、漆器であるため樽のように水を張らなくとも破損することがないので、次世代に受け継ぎやすく、器自体が美しい為ハレの場にふさわしいということです。
※参考文献:佐々木利和(2013)『アイヌ史の時代へ』北海道大学出版会